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韓国の個人情報保護法

  弁護士 丁海煌

 

2022年4月1日、日本では個人情報保護法が改正され、個人情報の取扱いに関して個人の権利保護が強化され、企業の責務が追加されました。

韓国にも「個人情報保護法」という法律が存在し、日本と同様にOECDプライバシーガイドライン8原則を遵守した制度となっているところ、韓国もプライバシー保護には特に力を入れており、日本より厳しい制度が存在したりします。

例えば、以下のような違いがあります。

日本の場合、個人情報を取得・利用する場合において、取得時に情報主体からの同意は必要ではなく、取得後に利用目的を通知又は公表することで足りますが(日本個人情報保護法(以下、「日本法」という)第18条第1項)、韓国の場合、「情報主体との間で契約の締結又は履行のために不可避に必要な場合」(韓国個人情報保護法(以下「韓国法」という)15条1項4号)等の例外的な場合を除いては、個人情報の取得時に情報主体から同意を得る必要があります(韓国法15条1項1号)。

また、利用目的の変更する場合において、日本では「変更前の目的と関連性があると合理的に認められる範囲」(日本法第15条2項)であれば、情報主体の同意を得ることがなく変更が可能であるものの、韓国にはそのような規定はなく、原則として情報主体の同意を得る必要があります(韓国法第18条第2項)。

更に、韓国では個人情報保護方針(いわゆるプライバシーポリシー)を定めてホームページに掲載する等して公開しなければならない(韓国法第30条)のに対し、日本にはそのような規定はありません。

加えて、韓国では、個人情報取扱者が故意又は過失により個人情報を紛失・流失・盗難・毀損等した場合には、情報主体は損害の立証をしなくても300万ウォン以下の損害賠償請求が可能である(韓国法第39条の2)のに対し、日本にはそのような規定はなく、情報主体が損賠賠償請求をする場合、情報主体が具体的な損害額を立証する必要があります。

 

韓国はキャッシュレス、ペーパーレス化が日本より進んでおり、インターネットを介して容易に個人情報を提供・入手しやすくなっています。その反面として、情報主体の自己決定権、プライバシー権をより強固に保護しているものといえます。

 

韓国に進出してビジネスを行う場合、個人情報の取得・利用は必要不可欠であるといえますが、日本と規制が異っている点があり、その扱いを誤れば企業に多大な損害を及ぼすおそれがあります。

同法の詳細な内容等ご不明な点がございましたら弊所に気軽にご連絡頂ければと思います。

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