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相続と認知症

弁護士 笹沼永浩

 

1 遺産分割協議と認知症

日本という国が世界的に長寿大国として知られていることは、ほとんどの方がご存じかと思います。世界の中で、日本の平均寿命は84.3歳、健康寿命は74.1歳と、最も長いことが発表されています(WHO・2022年版世界保健統計より)。

このような状況の中、相続人が認知症となっているという状況も散見されるようになりました。遺言書があればその内容のとおりに手続きを進めれば良いのですが、遺言書がない場合、遺産分割協議をしなければなりません。

日本の法律上、重度の認知症の相続人は、意思能力がないと判断されてしまうと、遺産分割協議をすることができません。もっとも、遺言書がなく、相続人(の一部)に意思能力がない場合には、まったく遺産分割協議をすることはできないのかといえばそういうわけでもありません。このような場合には、成年後見制度を利用するという方法があります。

 

2 成年後見制度の利用

成年後見制度とは、認知症等の精神上の障害によって、遺産分割協議のような相続手続きを含む財産管理や身上保護などの法律行為を一人で行うことが難しい方を法的に保護し、支援することを目的とする制度です(厚生労働省「成年後見はやわかり」https://guardianship.mhlw.go.jp/personal/)。

この成年後見制度を利用すると、後見を開始するという裁判所の審判によって、上記のような方を成年被後見人として成年後見登記がなされ、成年後見人が選任されます。成年後見人は、成年被後見人に代わって法律行為を行うことができ、日常生活に関する行為を除く成年被後見人の法律行為を取消し、または追認をすることによって、成年被後見人の保護を図ります。

相続人に認知症の方がいる場合、上記の成年後見制度を利用して、成年後見人がつくことによって、その成年後見人が認知症の方の代理人として遺産分割協議をすることができるようになります。

 

3 最後に

遺産分割協議は、様々な利害が対立しやすい上、それまでの関係性も複雑に絡み合い、長期化することも少なくありません。弊所には、後見制度や遺産分割協議について、経験が豊富な弁護士が多数在籍しておりますので、精神的に疲弊してしまう前に、上記の後見制度の利用や遺産分割協議について、お気軽にご相談ください。

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