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韓国におけるフランチャイズ経営への規制

日本では外食産業、コンビニチェーンをはじめ、今や様々な業種においてフランチャイズ経営が幅広く展開されており、それは韓国においても同様です。

もっとも、日本にはフランチャイズ法というものは存せず、中小小売商業振興法において、フランチャイザーがフランチャイジーに対して契約締結前に事業内容や契約内容などの情報の提供義務を課しているのみであり、フランチャイズ経営を網羅的に規制する法律は存しません。

フランチャイズ経営の構造上、フランチャイジーがどうしても不利な立場に立たされ、不当な契約を結ばされる事例が多々存することから、日弁連は2021年10月20日、「フランチャイズ取引の適正化に関する法律(フランチャイズ取引適正化法)の制定を求める意見書」を経済産業大臣及び公正取引委員会委員長に提出したものの、いまだ制定には至っておりません。

他方、韓国は2002年11月1日に「加盟事業取引の公正化に関する法律」(以下「加盟事業法」といいます。)を制定しており、フランチャイズ経営を法的に規制しています。

 

まず、「加盟事業」(フランチャイズ取引)の定義を、「加盟本部(フランチャイザー)が加盟店事業者(フランチャイジー)に自己の商標·サービス表·商号·看板その他の営業標識を用いて一定の品質基準や営業方式により商品またはサービスを販売するようにすると共に、これにともなう経営および営業活動などに対する支援·教育と統制を行い、加盟店事業者は営業標識の使用と経営および営業活動などに対する支援·教育の代価として加盟本部に加盟金を支給する継続的な取引関係をいう。」(同法第2条第1号)と定め、これに該当するフランチャイズ経営には原則として加盟事業法が適用されます。その場合、以下のような規制が課されます。

 

・情報公開書の登録等

加盟本部は加盟希望者に提供する情報公開書を公正取引委員会に登録しなければならず、記載事項の中で重要事項が変更された場合には定められた期限内に公正取引委員会に変更登録をしなければなりません。

 

・加盟金預置制度

加盟本部が加盟店事業者に加入費·入会費·加盟費·教育費または契約金などの代価を金銭で支給された場合、原則としてこれを直接受領できず預置機関に一定期間預けなければなりません。

 

・情報公開書等の提供

加盟本部は加盟希望者に情報公開書および近隣加盟店現況文書を提供しなければならず、情報公開書を提供した後、14日経過前に加盟希望者と加盟契約を締結することができません。

 

・不公正取引行為の禁止

加盟本部は、商品やサービスの供給または営業の支援などを不当に中断または拒絶する行為、加盟店事業者が取り扱う商品またはサービスの価格など事業活動を不当に拘束または制限する行為、取引上の地位を利用して不当に加盟店事業者に不利益を与える行為、加盟店事業者に不当に損害賠償義務を負担させる行為などをしてはなりません。

 

上記以外にも種々の規制が課されており、フランチャイジーの保護が図られております。日本企業が韓国に進出してフランチャイズ経営を行う場合、日本とはかなり異なる制度設計となっていることから、注意が必要です。

 

同法の詳細な内容等ご不明な点がございましたら弊所に気軽にご連絡頂ければと思います。

 

弁護士 丁海煌

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