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韓国における法定相続人と相続分

弁護士 金紀彦

韓国国籍の方が亡くなると、韓国法によって相続が行われます(法の適用に関す通則法第36条)。相続に関しては、日本においても韓国においても基本的に民法に規定されていますが、日本民法と韓国民法には内容が異なる点も多々あるため、注意が必要です。そのようなもののうち、今回は、法定相続人の範囲とその相続分について説明したいと思います。

まず、法定相続人、すなわち、誰が相続人になるのかの範囲の問題です。日本民法では、配偶者は常に法定相続人となるとした上で(日本民法第890条)、第1順位として子、第2順位として直系尊属(親、祖父母など)、第3順位として兄弟姉妹と定められています(日本民法第887条、第889条)。また、第1順位および第3順位について、その者が被相続人よりも先に亡くなっていた場合には、その者の子が代襲相続人となり、第2順位については、親等の近い者が相続人となるとされています。

一方、韓国民法においても、配偶者が常に相続人になる点、第1順位として直系卑属(子や孫など)が相続人となる点、第2順位として直系尊属が相続人となる点は、日本と同じです(韓国民法第1000条、第1003条)。しかしながら、配偶者がいる場合、兄弟姉妹は相続人になりません(韓国民法第1003条)。すなわち、被相続人に直系卑属も直系尊属もいない場合には、配偶者のみが相続人となります。また、配偶者がおらず、直系卑属も直系尊属もいない場合には、4親等内の傍系血族まで相続人となりますので(韓国民法第1000条第1項第4号)、日本民法よりも法定相続人の範囲が広いことになります。

また、法定相続分についても、日本民法と韓国民法で異なります。日本民法では、配偶者の相続分が先に決まります。すなわち、第1順位の相続人(子)と相続する場合には、配偶者が2分の1、他の相続人が残りの2分の1を相続し、第2順位の相続人(直系尊属)と相続する場合には、配偶者が3分の2、他の相続人が残りの3分の1を相続し、第3順位の相続人(兄弟姉妹)と相続する場合には、配偶者が4分の3、他の相続人が残りの4分の1を相続します。配偶者以外の相続人の相続分は平等です。

一方、韓国民法においては、配偶者の相続分は、他の相続人の1.5倍です(韓国民法第1009条第2項)。すなわち、相続人が配偶者と子1人の場合には、配偶者:子の相続割合が3:2であり、配偶者の相続分は5分の3ですので、日本民法の場合(配偶者の相続分は2分の1)よりも多くなります。相続人が配偶者と子2人の場合には、配偶者:子:子の相続割合が3:2:2となり、配偶者の相続分は7分の3ですので、日本民法の場合(配偶者の相続分は2分の1)よりも少なくなります。なお、配偶者以外の相続人の相続分が平等なのは、日本民法と同じです(韓国民法第1009条第1項)。

相続分野における日本民法と韓国民法の違いは、上記の他にもたくさんありますので、注意が必要です。また、韓国国籍の方であっても、生前に遺言で相続準拠法を日本法に指定すれば、日本民法に基づいた相続となります。

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