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SNSをめぐるトラブル予防のポイント

弁護士 金愛子

 

Twitter、Instagram、TikTok、Facebook…。巷には様々なSNSがあり、企業イメージの向上や営業ツールとして有効に利用されています。

他方、使い方を間違えると、いわゆる“炎上”という事態を招き、企業イメージが棄損され、深刻なダメージを受けることも珍しくなくなりました。

本稿では、トラブル予防の観点から、企業及び従業員がSNSを利用する際の注意点をご説明したいと思います。

 

1.ソーシャルメディアガイドラインの策定

企業がSNSを利用する場合等には、「ソーシャルメディアガイドライン」を作成し、SNSを利用する目的を共有して運営方法を明文化し、またトラブルが発生した場合の対応方法もあらかじめ定めておくのがベストです。

企業の公式SNSの投稿を担当者任せにしていては、発信が担当者の主観に偏ってしまい、最悪のケースでは質の低い投稿によってSNSが「炎上」してしまうこともあります。

 

2.就業規則の見直し

従業員の私的なSNS利用に企業が介入するのは、原則として不適切です。しかしながら、企業活動に影響を与えかねないため、必要性・相当性がある場合には、SNSの利用方法等について、企業も介入できます。

具体的には、①顧客情報や機密情報の漏洩防止、②著作権や肖像権など、第三者の権利を侵害する投稿の禁止、は当然許されます。

他にも、③企業の業績や経営戦略の投稿禁止、④企業が提供する商品やサービスに関する投稿の際の配慮(いわゆるサクラ投稿と受け止められかねません)、⑤ヘイトスピーチや差別的表現、わいせつ表現など公序良俗に反する投稿の禁止など、企業の信用を失墜させる投稿を禁止することは許容されます。

このような禁止事項は、企業の公式SNSの担当者の投稿規範にもなるため、上記1に記載したガイドラインにも入れ込む必要がありますが、このガイドライン違反を理由に従業員を懲戒する場合には、懲戒事由として就業規則にも盛り込まなければならないので、注意が必要です。

 

3.“炎上”してしまった場合

過去にも、ディズニーや阪急電鉄等、大企業の公式SNSも「炎上」した例があります。企業の公式SNSが「炎上」した場合、求められるのは一貫した対応です。問題となった投稿を削除して済む問題ではありませんので、①批判の対象となっている事実関係の確認、②事実だった場合の謝罪と適切な措置など、フローチャート等で対応を視覚化しておくのがベストです。

また、従業員の私的なSNS投稿が「炎上」し、勤務先の企業が一部のインターネットユーザーにより特定・公表されるなどのケースもあります。このような場合、企業が批判の対象にならないケースもありますので、別の対応方法(たとえば、悪質な誹謗中傷には民事訴訟のみならず、刑事告訴も辞さない等)の検討・マニュアル化も必要です。

 

4.まとめ

SNSにより、私人間でのコミュニケーションのあり方が変わり、また企業のプロモーション活動も変化しました。

SNS利用によるメリットを最大限享受するためには、上述した通り、ガイドラインの策定が必要です。ガイドラインの策定方法やトラブルの対処法などでお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にお問い合わせいただければと思います。

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