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日韓のビジネス慣習の違いについて

弁護士 金紀彦

ビジネス慣習に関して、日本と韓国にはいくつかの違いがあります。そのうち、最大のものの一つは、会社の意思決定の方法です。日本においては、社内の担当者、担当部、担当役員、取締役会など、各部門で稟議を行い、その結果として会社の意思決定がなされることが多いです。一方、韓国においては、代表取締役などのトップが会社の意思決定を行い、それに合わせて社内が対応していくということがよく見られます。このようなボトムアップ型とトップダウン型の意思決定の違いを双方が理解していなかったために、日韓ビジネスにおいてトラブルが生じることがあります。

例えば、日韓それぞれの経営者が顔を合わせた際に、韓国側から具体的な事業提案を行ったとき、日本側から「持ち帰って検討します」というケースがあります。日本側としては、仮に前向きに考えていたとしても、収益分析やリスク分析、法務や税務に関するチェックなどをする必要がありますし、進めるにしても社内手続を経る必要があるので、このような対応をしたに過ぎません。一方、韓国側としては、「会社のトップ同士で話をしているのに、これから検討しますということは、当方とビジネスをするつもりがないのではないか」と受け取って、そのビジネスを止めてしまうるおそれがあります。

また、経営者同士で意気投合して、韓国側のサポートの下、日本側が韓国に進出するケースにおいて、韓国側の勢いに押されてリスク分析が不十分となる場合があります。韓国進出をする予定であるとして弊所にご相談にいらっしゃるクライアント様の中にも、法的リスクの検討や契約書などのチェックの前に、韓国における日常業務の管理方法や韓国側との権利関係、事業計画の策定と不達成の場合の対応など、ビジネス面での検討が不十分であるケースが見られます。そのようなケースのうち、一定数は、経営者同士が意気投合し、韓国側のトップダウン型の意思決定のスピードに合わせているうちに、日本側で必要な検討ができていなかったケースです。弊所において、業務提携契約書などを作成しながら、ビジネス面での課題が顕在化し、韓国側と協議をすることで、将来のトラブルの基を防ぐことができたケースも多々あります。

ビジネスは、単発で終わることは稀であり、通常は、費用や時間、労力などのコストを投入し、長期間にわたって行うものです。特に、国をまたいで行われる国際取引においては、双方のビジネス慣習に違いがあることを認識し、さらには、その背景にある国民性や文化、社会通念などの違いまで理解することによって、現地パートナーとの信頼関係を醸成することが重要です。そのようなことができれば、トラブルを未然に防ぐことができるだけでなく、有益かつ長期的なビジネスパートナーとして、双方の利益に繋がることはもちろん、自社の重要な競争力の源泉にもなり得ます。

弊所には韓国ビジネスに精通した弁護士が複数所属しており、法務面はもちろん、ビジネス面でもサポートが可能です。お気軽に弊所までお問合せ下さい。

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