弁護士 李麗奈
(1)準拠法の決定
外国企業との間でのビジネスを行うにあたって、契約の準拠法を日本法にするかあるいは外国法にするか選択する際に、注意しなければならない点があります。
準拠法とは、国際的な法律問題の際に、どこの国の法律を基準として適用するかという問題です。
準拠法は、法律上、決まっている場合もありますが、ビジネス取引の場合、契約当事者の意思により選択することができる場合がほとんどです。また、契約当事者双方の合意により、準拠法を決定し、契約書に明示することが一般的です。
準拠法を外国法に決定するにあたっては、事前にその外国法の内容を調査して、自社に不利な内容があるかを確認することが必要です。当事者双方の合意により、契約書で規定した内容であるにも関わらず、準拠法となる外国法において、当事者の合意に関わらず適用される法律(「強行法規」といいます)が契約関係に適用される場合、自社にとって不利な法律が強制的に適用されることがあるためです。
(2)韓国・代理店取引の公正化に関する法律
例えば、韓国には、いわゆるフランチャイズ事業に関して、「代理店取引の公正化に関する法律」(以下、「代理店法」といいます)という法律があります。この法律は、フランチャイズ加盟店を保護する内容が主に規定されています。
代理店法では、フランチャイザー(フランチャイズ本部)が、加盟店に対して商品を購入することを強制すること等を禁止しています。そして、代理店法は、代理店法が禁止している行為をフランチャイザーが行った場合、原則的として、加盟店に発生した損害の3倍以内の金額を賠償することを義務付けるという強行法規があります。
そこで、仮に、フランチャイザーと加盟店との間の契約について、準拠法を韓国法にしていた場合、賠償責任について、独自の合意を契約書で定めていたとしても、実際には、代理店法の規定が適用されることになります。
このように、外国企業との間でのビジネスを行うにあたって、日本法と外国法を比較した上で、契約の準拠法を定めることが重要です。
弊所には韓国ビジネスに精通した弁護士が複数所属しており、法務面はもちろん、ビジネス面でもサポートが可能です。お気軽に弊所までお問合せ下さい。