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認知症対策としての家族信託

弁護士 金紀彦

 現在、大きな社会問題とされているものの一つが認知症対策です。社会の高齢化が急速に進んでおり、2025年には認知症患者が約700万人に達し、高齢者の3人に1人が認知症または認知症予備軍になると言われています。そのような中、ご自身が認知症になった場合の対策をしておくことが大切ですし、配偶者や親が認知症になる可能性にも備えておく必要があります。

認知症になった場合に困ることの一つは、ご自身の財産管理をどのようにするかということです。日々の生活費をどのように支払うかということも問題になりますが、家をリフォームしたり、施設に入ったりといった場面では、大きなお金を動かす必要があります。認知症になってしまうと、本人の意思が確認できないため、預金を引き出したり、不動産を売却したり、家のリフォームをしたりといったことができなくなります。

そのようなことに備えるための方法として、家族信託があります。家族信託は、家族と話し合った上で、ご自身に何かあった場合の財産管理を家族に委ねるものです。まずは、家族と十分に話し合って、ご自身の想いや心配事を家族に分かってもらうことから始めます。また、ご自身に何かあった場合のためのものですので、家族信託をしたからといって財産が取られるわけではなく、認知症になったりするまでは、ご自身で財産を管理していただくことになります。加えて、家族の事情に合わせて、家族信託の内容をカスタマイズすることができますので、長期的な相続税対策を行うことも可能ですし、例えば、財産管理を息子に任せた上で、妻に生活費が支払われるようにするといったことも可能です。

認知症になった場合の財産管理方法として、成年後見制度があります。しかし、成年後見人は、認知症などになった後に裁判所が選任するので、誰が選任されるのかが分かりません。また、成年後見制度は、財産の維持を主眼としていますので、家を売って施設への入居費に充てるとか、介護をしやすいように家をリフォームするなどということが容易にできませんし、相続税対策として行う様々な方策もとることができません。加えて、ある程度の財産がある場合には、裁判所が選任した弁護士や司法書士が後見監督人となりますので、その費用が長期的に発生することになります。

自分が認知症になった場合に家族に迷惑を掛けたくない、自分の想いを家族に知っておいてもらいたいというのは、誰しもが思うことです。そのようなお考えを実現する方法として、家族信託は非常に有用です。

弊所には、家族信託をはじめ、認知症対策や相続対策についての知識・経験が豊富な弁護士が複数所属しています。ご不明な点がございましたら、弊所までお問い合わせ下さい。

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