弁護士 金田正敏

   

 昨今のグローバル化に伴う、インターネットを利用した個人輸入や国際的な結婚・離婚の増加など、今や企業だけでなく、個人でも、国際的な取引や家族問題と接する機会が増えてきています。今回は、国際的な法的問題が生じるときに理解すべき「準拠法」と「国際裁判管轄」という2つの言葉の意味と違いについて解説します。

 

1 準拠法とは

 「準拠法」とは、ある法的問題について、判断の基準として適用される法律のことを言います。

 例えば、日本に住んでいる人が、アメリカで販売されている商品をインターネットで、日本から注文した際に、アメリカの販売業者とトラブルになったような場合、その取引に適用される法律は、日本の法律なのか、アメリカの法律なのか、またその他の法律なのか、という問題を考えてみましょう。この問題において、適用される法律のことを準拠法と呼びます。

 準拠法は、法的問題ごとに考えるということがポイントです。先ほどの例ですと、売買契約の準拠法は何か?を探すことになります。また、国際結婚をした夫婦が離婚をするような場合には、離婚問題の準拠法、子供の親権の問題の準拠法、慰謝料の問題の準拠法を探すといったように、法的な問題の性質を分けて検討する、という性質があります。

 準拠法をどのように決めるか、について日本では、法律が定められています。「法の適用に関する通則法」という法律です。

 この法律によれば、国際結婚をした夫婦の離婚の問題について、①夫婦の本国法が同一であるときはその共通本国法による。②夫婦の同一の本国法がない場合においては夫婦の常居所地法。③そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法。④ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときには、離婚は日本法による。と定められています(法25条、27条)。

 

2 国際裁判管轄とは

 「国際裁判管轄」がある場合とは、ある法的問題について、訴えを提起された裁判所が、その問題を取り扱うことができる場合に、国際裁判管轄があるということになります。つまり、国際裁判管轄の問題とは、法的問題が起きた場合に、どこの国の裁判所で裁判を起こせるか、という問題だということができます。

 日本では、民事訴訟法において国際裁判管轄があるかどうかの基準が定められています。

 例えば、日本の裁判所は,相手が個人の場合、被告の住所が日本国内にあるときは,管轄権を有すると定められています(法第3条の2)。従って、日本に住所がある者に対しては、日本の裁判所へ訴えを提起することができることになります。

 

3 まとめ

 以上みてきたように、国際裁判管轄とは、どの国の裁判所が問題を扱うか、ということであり、準拠法とは、どの国の法律を当てはめて結論を出すか、という問題であるという違いがあるということができます。この結果、例えば日本の裁判所において、韓国法を適用して判断する、という事態が生じることにもなります。