弁護士 裵  薫

 幼少の頃から、社会科学に関心があり、理科系、特に生物学には殆ど関心がありませんでした。ところが、いつの間にか、宇宙と生命の神秘にすっかり虜になりました。今では、若い人たちに対する推薦本の№1は、デヴィッド・クリスチャン外著『ビッグヒストリー』(明石書店、2016)であり、№2は、ダーウィンの『種の起源』です。後者は、近現代で最も人類に影響を与えた書物であり、前者は、近い将来人類共通の教科書になるであろうと思っています。

 ウイルスは、RNAと呼ばれる分子結合物からなっていますが、私たち生物を創り出すDNAの前駆体です。ウイルスは、自ら複製できず、他の生物を宿主としないと存続しえません。よく生物はDNAの複製過程、人間でいえば、受精の段階で、ミスプリント(突然変異)が起こって、多様性が生まれ、環境にうまく適応できたDNAを持った生物が生き残り淘汰されると説明されています。

 最近の研究によりますと、人間は数十個の遺伝子の変異を抱えて誕生しており、誕生によって遺伝子の垂直的変異は常態的に起こっているそうです。一方、ウイルスは、太古の昔から生物の細胞に入り込み、既存のDNAと結合することにより、遺伝子を変異させてきたようで、生物の進化に大きな役割を果たしてきました。

 青天の霹靂のように襲い掛かってきた新型コロナウイルスは、現代社会の在り方にじわりじわりと大きな変化を強いていますが、人類は、太古の昔から、大きな犠牲を払いながらもうまく適応してきました。先祖から受け継いだ能力を発揮すれば、必ずや克服できるはずです。