弁護士 金 愛子

1.コロナショック

 2020年は、東京オリンピックなど華々しいイベントが予定されていましたが、新型コロナウィルス(COVID-19)により、生命が危険にさらされる毎日となってしまいました。

 現在、各都市で緊急事態宣言が出される事態となっており、収束のきざしはありません。政府は対策を講じようとしていますが、この新型コロナショックにより、以下のような事態に陥ってしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 (1)勤務先が倒産してしまった。失業保険では生活がカツカツで、奨学金やカードローンが支払えない。

 (2)勤務先の倒産は免れたが、給与が大幅に減った。住宅ローンが返せない。

 (3)勤務先が休業してしまい、家賃すら支払えなくなってしまった。退去するよう連絡がきたら、どうすれば良いか。

 

 もちろん、他にも経済的な問題を抱えた方もいらっしゃると思いますし、それぞれの事情もありますが、経済的な問題は弁護士に相談することで解決可能です。上記(1)~(3)について、簡単に解説します。

 

2.経済的問題への対応の一例

 【(1)の場合】

 ドラスティックではありますが、自己破産という手段があります。クレジットカードが利用できなくなる等のデメリットもありますが、免責許可を得られると、債務を弁済する必要はなくなります(※免責許可の可否は個別の事情によります)。このように、自己破産には、一からやり直すことができるという大きなメリットがあります。

 もちろん、自己破産以外にも手段はあります。どのような手段がベストかは、それぞれ異なりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

 【(2)の場合】

 自宅不動産をお持ちの方が自己破産をしようとすると、自宅不動産を売却しなければなりません。したがって、自宅不動産を残したい方には、自己破産は不向きです。

 自宅を残したい場合には、個人再生という手続(小規模個人再生、給与所得者等再生の2種類がありますが、以下併せて「個人再生」といいます。)をおすすめします。この手続きであれば、住宅ローンを支払いながら、他の債務を圧縮し、それを分割弁済することが可能です。

 個人再生を申し立てるには、①債務が5000万円以下か、②反復または継続して収入を得ることができるか、などの要件を満たす必要があります。個人再生が難しいとしても、自宅を残しながら債務を整理する手続きを検討することもできます。こちらも、弁護士に相談していただければ、出来る限りの手段をご提案できます。

 

 【(3)の場合】

 家賃の支払いができなくなり、住むところがなくなってしまいそうな場合には、「住宅確保給付金」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000073432.html)などの制度の利用が考えられます。もっとも、支給の可否や、申請から支給までのタイムラグなど、様々な問題もあります。

 そこで、家主に滞納家賃の分割払いの申し出や、家賃の減額を申し出るなど、交渉が可能ですので、ぜひ弁護士に相談してください。

 また、家主が退去を求めてきた場合も、すぐに弁護士に相談してください。裁判所は、家主からの明渡要請については、「信頼関係が破壊されたと認められる特段の事情」がある場合にこれを認めます。今まで真面目に家賃を支払ってきた方の場合、新型コロナショックで家賃を少し滞納したとしても、裁判所は信頼関係が破壊されていないと判断し、家主からの請求を認めない余地は十分にあります。

 

3.おわりに

 上記はほんの一例ですが、政府の対策の対象外であったとしても、経済的危機は、弁護士に相談することにより、何とか解決できる場合もたくさんあります。しかし、生命はそうではありません。失われてしまえば、戻ってきません。お金のことでたくさん悩まれているとは思いますが、まずは、自分や家族・友人など、身の回りの方々の生命を大切にしてください。

 また、本稿は、個人の方の経済的な問題に紙幅を割きましたが、個人であるか企業であるかを問わず、経済的問題は、弁護士に相談していただければ、最大限寄り添って解決のパートナーとなります。どうぞ、お気軽にご相談ください。