弁護士 丁 海煌

 2019年4月、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という)が改正され、在留資格「特定技能」が新設されました。

 野党が時期尚早だとして反対し、メディアでも大きく話題になりましたが、日本の深刻な労働者人口不足に対応するため、急ピッチでの改正が行われました。

もっとも、上陸拒否事由の規定(入管法5条)については、改正どころか議論すらなされませんでした。

 私は、上陸拒否事由の規定の中でも、入管法5条4号には大きな問題があると思っています。

 

 先ず、入管法5条4号は以下のように規定しています。

5条:「次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。

1~3号(略)

4号 日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。」

 

 問題点は、大きく3つあると考えます。

 第1に、「執行猶予の言渡しを受けた者を除く」とは規定されていないので、刑の確定があれば、たとえ執行猶予の言渡しを受けた者も、上陸拒否事由該当者となります。

 第2に、上陸拒否となる期間が定められていないので、上陸拒否期間は無期限、つまり永久となります。

 第3に、在留資格についても何ら定められていないので、在留資格「日本人の配偶者等」「定住者」更には「永住者」を有する者も含まれます。

 

 つまり、例えば、日本に長期間在留し、日本以外に生活の本拠がない「永住者」であったとしても、その者が入管法5条4号に該当する場合、何らかの事情(例:本国での身内の不幸等)で一時出国してしまえば、永久に来日することが出来なくなる可能性があります。

 

 平成30年3月27日付法務省報道発表資料(法務省HP参照)によりますと、平成29年の上陸拒否事由該当事案は1014件にのぼります。

 法務省は、上陸拒否事由該当事案の詳細を明らかにしていませんが、在留資格「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」を有する者も、相当数いると思われます。

 

 日本政府は2060年に総人口1億人の目標を掲げているところ、毎年外国人が25万人ずつ増加しなければ、この目標は達成できないとされています(みずほ総合研究所、2018年8月16日付「リサーチTODAY」)。

 外国人の受入れは必要不可欠であり、在留外国人の人口増加は目に見えています。

にもかかわらず、入管法5条4号は、執行猶予判決である場合でも上陸拒否事由にあたると一律に判断し、在留資格によって差異が設けられているわけでもありません。

 現行法の上陸拒否事由該当性の当否については、ほとんど議論がされていませんが、早急に議論を進めていくべき問題ではないかと思います。