弁護士 丁 海煌

 最近、日本の弁護士の友人から、「韓国では勾留(韓国では「拘束」といいますが、便宜上「勾留」と記載します。)請求却下率が高く、日本とは違って被疑者が勾留されることは少ないと聞いたけど、本当なのか?」という質問を受けました。私も韓国での勾留請求却下率は高いという印象を持っていましたので、「そうだと思う。」と返事をしましたが、具体的な数字が気になったので調べてみました。

 

以下は、韓国検察庁がHP上に公表している2010年の被疑者段階でのデータです。

「勾留請求件数」:43,574件

「請求却下」:10,332件

「請求認容」:33,242件

「却下率」:23.7%

 

他方、日本の『平成21年度版犯罪白書』による2010年の被疑者段階でのデータは以下のとおりでした。

「勾留請求件数」:121,711件

「請求却下」:941件

「請求認容」:120,770件

「却下率」:0.77%

 

 日本の総人口数を韓国の約2.5倍と考えた場合、日本の「勾留請求件数」は韓国の約3倍で、「勾留請求認容件数」は韓国の約4倍です。「却下率」は実に約31分の1しかありません。

この数字から2つのことが推測されます。1つは、韓国では令状裁判官が勾留請求を厳格に審査しているため、検察官による勾留請求が慎重になされているではないかということ。もう1つは、日本では令状裁判官による審査がほとんど機能していないため、検察官による勾留請求を抑止する契機が極めて乏しいのではないかということです。

つい8年前のデータですが、日本と韓国の刑事司法はかなり異なっていることがわかります。

 

 ただし、2017年のデータになると、日本では多少変化が見られました。

まずは韓国のデータです。

「勾留請求件数」:40,083件

「請求却下」:7,187件

「請求認容」:32,369件

「却下率」:17.9%

 

次に日本のデータです。

「勾留請求件数」:105,669件

「請求却下」:3,580件

「請求認容」:102,089件

「却下率」:3.4%

 

韓国は「却下率」がやや減少しているものの、「勾留請求件数」はほとんど横ばいです。他方、日本は「却下率」が上昇しており、「勾留請求件数」が2010年のデータと比べて約6分の5にまで減少しています。

「却下率」が上昇しているのは、日本の弁護士による勾留決定に対する準抗告が活発で、人質司法に対する批判が高まっていることもあって、令状裁判官の勾留に対する考え方が変わってきたからではないかと思います。

そのため、検察官も勾留請求に慎重になり、「勾留請求件数」の減少に繋がっているのではないかと推測されます。

 

 日本のデータが徐々に韓国に近づいているのがわかります。

このまま日本の勾留請求「却下率」が上昇していけば、友人に対する答えが変わってくるかもしれないな、と思わされたデータでした。