李 麗奈

 

 韓国の法学を大学院で学ぶために、ソウルで留学生活を送っています。博士課程への入学準備時から含めると3年ほどが経ちました。

 大学及び専攻による違いはあるものの、日本との違いを感じる、韓国の大学院事情があります。

 それは、他の職業を持ちながら、大学院に通う社会人の院生が、職業学生よりも多いことです。弁護士、会計士、銀行員等の職業と両立しながらや、裁判所職員を定年退職後に入学された方など、職業は様々です。日本では、法学専攻に限って見ても、大学教員を目指す職業学生が修士・博士課程に進学することが多いので、対照的に感じます。

 私が通う学科の授業の多くは、このような社会人が多いという状況に配慮されて、平日の夕方7時以降や週末に開講されています。(ただし、同じ法学科でも、職業学生たちが通うロースクールの授業は、平日の日中に開講されています。)

 個人的な見解ですが、このような多くの社会人が大学院に通うという事情の背景には、

 1.朝鮮時代の科挙試験制度(試験により国の役人を選出する制度)の名残りで、学歴及び学問による自己啓発を重視する韓国文化の存在。

 2.1.の学歴重視社会の中で、近年の大卒率上昇により、大学院まで進学することで学歴の差別化が可能になっている状況。

 3.大学側としては、少子化による大学生年齢層減少に対応するために、大学院への社会人受け入れを広げ、収益安定を図ろうとしていること。

 という3点が、あるのではないでしょうか。

 いずれにしても、大学院の授業は、社会人実務の経験がある院生がいるおかげで、机上の学問にとどまらない内容に議論が発展することが可能になっているように感じます。

 また、個人的には、もう一つの長所は、幅広い年代の方が大学に通っているので、大学生に見える年齢を過ぎた私のような者でも、肩身の狭い思いをせずにキャンパスを歩けることです。