弁護士 裵  薫  

平成28年(2016年)12月19日、最高裁判所大法廷は、「普通預金債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象になる。」という判断を下した(許可抗告事件決定、民集70巻8号2121頁)。預貯金債権は、相続開始(被相続人の死亡)後、共同相続人はそれぞれの法定相続分の割合に従って、単独で預金を相続し、金融機関に支払を請求できるという従前の判例実務を大きく変更したのである。概念法学流に解せば、預金債権は分割債権なのだから当然に各共同相続人に分割相続されるという結論になるが、相続人間に不平等をもたらすという実務家の批判は少なくなかった。

この最高裁決定に接して、2つの感慨が禁じ得ない。一つは、法解釈によってもたらされる現実を直視することなく、安易な形式的解釈に基づいて判決を下すという裁判官が余りに多いということであり、もう一つは、現実に存在する明白な問題を是正するにも、数十年という歳月がかかってしまっており、その間、相当な数の被害者がいたであろうということである。

韓国でも、預金の相続は日本法と同様に解されており、同様の弊害がある。韓国の法曹が、早急に日本の最高裁決定に倣って預金相続の実務を変更されるよう願う次第である。